40の手習い(正確には36歳ですが)

政治学山口二郎氏のブログを見て、日本の未来も捨てたもんじゃないなと嬉しくなりました。
http://yamaguchijiro.com/?eid=1072

《大学の教師を25年以上続けてきて、最近若者の変化を感じる。バブルの余韻が残るころまでは、私の大学でも適当に単位を取って適当に就職するという若者が大半であった。しかし、この1,2年、社会の閉塞に加え3.11という国難に遭遇し、若者は自分の生や社会の在り方について、深く考えるようになった印象がある。
 先週は、1年生の政治学入門の試験を採点した。民意と政治指導者の関係、民主政治における自由と平等という基本的価値について論じる問題を出した。中には、アリストテレスやルソーなどを援用しながら思索を展開する答案もあり、正直なところ驚いた。高度成長の末期に若者だった私よりも、はるかに必死で政治の在り方について考えていることをうかがわせる。社会乱れて志士が出現するということか。》

さて、自分。
アリストテレスやルソーなどを援用しながら思索を展開》なんて今でも無理です。。。すげえよ、最近の大学生。
リーマンショック後に、これから世界はどうなるんだろうという不安感から、佐藤優氏の書籍を貪るように読みました。佐藤氏は、世の中の事象を読み解くには、哲学・思想の素養が必要と考えています(私の理解です)。哲学・思想は、法律学のバックグラウンドであり、自らの法律学の見識を深めるためにも、哲学・思想について学ばなければと思いつつ、4年の年月が流れました。。。。


その間、哲学・思想系の本で、読了したのは、次の1冊のみ。

反哲学史 (講談社学術文庫)

反哲学史 (講談社学術文庫)

これは、とてもわかりやすく、エキサイティングな本ですが、まだまだ哲学・思想に関して、知らなければならないことが多いなあと。というのも、難しい本にチャレンジするのですが、読みきれず、本棚の肥やしになっていたからです。今後、哲学・思想系で、何を読んだらよいのかなあと悩んでいました。


打開のきっかけは、先日、本屋をぶらぶらしているときに、佐藤優氏が『読書の技法』で、高校の教科書が基礎知識の基準となると述べているのを、ふっと思い出したこと。そこで思わず買ったのが次の本。

もういちど読む山川倫理

もういちど読む山川倫理

高校の倫理って、哲学、思想、宗教について学ぶんですね〜。この本を買うまで知りませんでした。恥ずかしい。教科書といえば退屈で眠くなるのが相場ですが、この本のページをめくる手が止まりません。私をして頁をめくらしむるのは、わかりやすい記述のほか、(1)『反哲学史』で述べられていることを違う角度で説明していることによる知的興奮、(2)佐藤優氏の書籍から得たばらばらの知識がつながることによる知的興奮、(3)哲学・思想を学びたい強い思いが満たされる満足感です。


加えて、言葉が心に沁みるんです。高校生や大学生のときに、「生きることの意味とは」なんて本を読むのは、体中がかゆくなり、精神的に耐えられなかったでしょう。子供ができたとか、社会の荒波(謎)にもまれているとか、リーマンショック東日本大震災が起きた、ということも理由でしょうが、いずれにせよ、年をとったなあと再認識。


己を伊能忠敬に擬すのはやや気が引けますが、40の手習い(正確にはまだ36歳ですが)と思い、謙虚に学ぼうと。この本をある程度おさえると、難しい本にも挑戦できるかもしれません。


挑戦するときに備え、こんな本も準備済みなんです(笑)。

難解な本を読む技術 (光文社新書)

難解な本を読む技術 (光文社新書)