北米ヨリCSRノ監査アレバ

国内ノ車屋サンヨリ依頼ガアレバ躊躇シツツモサプライヤノ情報ヲワケテヤリ
世界中カラ紛争鉱物ノ依頼ガアレバ製品単位ニテ詳細ナル情報ヲワケテヤリ
北米ヨリCSRノ監査アレバコワガラナクテイイトイイ
粉砕されたとです。。。。


納入する製品に関する要求ならばまだわかる。債務の本旨だもの。
ただ、製品とは直接の関係ない事項についてcorrective action plan とか言われるのは釈然としない。
例えば?
懲戒処分の減給はおかしいから対象から外すだけでなく、利用している派遣会社の就業規則から減給を外せとかぁ。
人身売買がトピカルだから就業規則に人身販売禁止とか書けとかぁ。
国内法ではどう規定されていようが、週●時間以上働いたら改善を求めるからなぁとか。
避難訓練の当日休んだ人にも避難訓練しないなんて信じられないわぁとか。


極めて労働条件が悪い国を何とかしようとして、実態として別に問題ない国の揚げ足を取るのはいかがなものかと。
各国の労働法令はもちろんグローバルスタンダードをもとにそれぞれの国の実情やらにあわせて法令なり運用なりが決められている。
それをもとに心ある会社ならば法令はやぶらないようにねと、対応しているんでしょう。
日本だけでなく欧州の様々な国の労務トラブルに関与してきた私からすれば、労務管理の実務運用は国それぞれにせざるを得ない。
そんな労務管理をワールドワイドに統一しようとか考えている人たちが北米というか米国にいます。


意外とそんな要求をしている会社は、その下請けやら孫請けやらが、人が死ぬレベルの労務管理をしてたりして、やりたいことはわかるんですけどね、でも、労務管理まで介入するのかいな。正しいと思っていることを、押し付けるなんとも米国らしいといえば米国らしいけど、その先には形骸化しかない。可能な限り書面をそろえて対応するということ。


こういったことへの対応は本来的債務ではないはず。現地の法令に違反しているものならともかく、現地の法令に違反していないが顧客の要求にそぐわない労務関係の要求について改善を求めるとかどうするんでしょうね。大きな会社は、労働やら安全衛生やらの規格の認証を受けているでしょう。これは推測ですが、その認証でも、国内法令を順守していればOKなはずで認証取っているのに北米の顧客監査で指摘事項てんこ盛りなんじゃないかと。ぶっちゃけ先方の言ってることすべて聞いたら、余裕で生産間に合わないですし、労働時間が短いというのも国によっては金が稼げないからそんな会社辞めるわとなりかねません。法令さえ守れば、あとはどうするかは会社の判断という裁量をものすごく狭める干渉だと思います。お客様がいる以上債務の本旨にかかわることは誠実に対応すべきですが、それ以外の付随的債務にも誠実に対応してどうなるんだろう。もう、海外に進出しなければどうしようもないという風潮の中で、進出した会社は付随的債務にあくせくしつつ、進出しない/進出できない会社は自滅するなんて悲劇ですね。


とはいえ、そういったことに対応することで、従業員のモチベーションがアップするなら、それはそれで考慮に値するんだと思います。
でも、先進国で、人身売買禁止という方針があって、この会社に骨をうずめますという人がいるだろうか。避難訓練の日に休んだけど、自分のために別途避難訓練をしてくれる会社サイコーと思う人がいるだろうか。


いろいろ釈然としない思いを抱えつつ、反抗は難しいので、まずは魂の入っていない仏様をつくる(=マネジメントシステム)ことから始めるしかないんでしょうね。仏さえあればあとで魂を入れることはできます。そんな日が来ることを信じながら、北米の某業界団体の100個以上の、労働、安全衛生、環境、倫理、マネジメントシステムからなる監査要求を和訳する私。